堀ノ内クリニック

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○○を食べると糖尿病にいいというのは本当ですか?  -糖尿病の話(1)-2018年7月

 テレビやネットでは健康情報があふれていて、繰り返しさまざまな食材が健康にいいということが取り上げられてブームになっています。テレビの影響力はものすごく、ひとたび取り上げられると多くの人がその食材を取り入れるようになり、中にはより健康になろうとして食べ過ぎてしまうことも多いようです。納豆、玉ねぎスープ、卵、はちみつ、アーモンド、チョコレート・・・こういったものを食べ続けて糖尿病が改善するということが本当にあるのでしょうか?

 そもそも糖尿病とはどのような病気でしょうか。食事をとると、腸から糖分が吸収され、血液中の糖分(血糖)が増えてきます。血糖が増えるとすい臓からインスリンというホルモンが分泌され、インスリンの働きによって血糖値が下がります。糖尿病はこのインスリンが全く分泌されないか、分泌はされるものの不十分な状態です。インスリンが十分に分泌されずに血糖値が高い状態が続くと、全身の血管に炎症を起こしてかたく変性する動脈硬化という状態になり、全身の臓器にさまざまな合併症を引き起こすようになります。そのため、食事療法や運動療法、薬物療法を行い、血糖値を適切にコントロールしていく必要があります。

 では、糖尿病の食事療法はどのような点に注意が必要でしょうか。

決められたエネルギー量をとりましょう

1日に必要なエネルギー量は年齢、性別、身長、体重、活動量などによって異なりますが、男性で1400~1800kcal、女性で1200~1600kcalくらいになることが多いです。主治医からエネルギー量の指示がありますので、それに従ってください。また、特に主食(炭水化物)の量に気をつけましょう。ごはんであればお茶碗にかるく1杯、パンであれば6枚切りを1枚などです。お菓子などの砂糖を含むものは同じカロリーであっても急激に血糖値が上がる原因になりますので、避けるようにしましょう。

栄養バランスに気をつけましょう

エネルギー量を守りながら炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などバランスよく栄養を摂るようにしましょう。炭水化物や脂質の摂りすぎを避け、食物繊維(野菜、きのこ、海藻類)をしっかり摂るようにしましょう。1つの食材に偏りすぎないように心がけましょう。

合併症を予防しましょう

高血圧症や脂質異常症を防ぐために、塩分や脂質の多い食品を控えましょう。

 以上のように、糖尿病の食事療法には特別な食事や特定の食材は必要ありません。仮に特定の栄養素を多く含む食材であっても、そればかりを摂り続けて糖尿病が改善するというようなものは一つもありません。むしろ摂りすぎることによって体重が増えたり、血糖値が上がったりして糖尿病の悪化につながることが多いのです。糖尿病の食事で大切なことは、エネルギーを摂りすぎないこと、バランスよく摂ることです。話題の食材に飛びつくのではなく、季節のさまざまな食材を取り入れて、適切に栄養を摂るようにしましょう。

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