台風シーズンのこの時期、外来では喘息(ぜんそく)の症状が悪化する方が増えてきています。もともと喘息と診断されていて普段から予防の治療を行っている方はもちろんのこと、今まで喘息と診断されたことのない方でもかぜをきっかけにぜんそく症状が出たり、咳が長引いてしまうことが多くみられています。
喘息発作は、気管支の慢性的な炎症が一時的に悪化することにより、気道がせまくなったり痰などの分泌物が増えたりして、さまざまな症状を起こした状態です。喘息の主な症状としては、咳・たん、喘鳴(息をする時にゼーゼー・ヒューヒューと音がする)などがあり、重症の場合は呼吸困難(息苦しさ)になることもあります。これらの症状は日中よりも夜間や明け方に悪化することが多く、咳で睡眠が障害されることもあります。また、喘鳴は出ずに、咳だけが長引くいわゆる「咳喘息」というものもありますが、発症のメカニズムは喘息と同じです。
喘息はさまざまな原因から悪化することが知られています。天気の変化や気圧の変化に影響を受けやすく、特に秋の台風シーズンや梅雨の時期には注意が必要です。台風が近づくことによる気温の変化や気圧の低下、ダニ・カビ・花粉などのアレルゲンの変化などが悪化の原因となっていると考えられ、この時期は普段に比べて喘息の患者が約2倍に増加すると言われています。また、かぜも喘息を悪化させる大きな原因の一つです。はじめはかぜと思っていても、そのうちに喘息に移行してしまい、かぜはよくなったのに喘息の症状だけが長引いてしまう、ということもよく見られます。
台風や梅雨の時期にかぜをひいてから咳が長引いている、せき込んで息苦しくなる、特に夜間や明け方に症状が悪化するという方は喘息を発症している可能性がありますので、医療機関を受診するようにして下さい。