コラム
column
column
かぜがなかなか治らなくて、咳が長引いている。薬を飲んでいるのに、ちっともよくならない…。数週間から1か月以上も咳が長引いている場合、ただのかぜではなく他の原因が隠れているかもしれません。では、どのような原因が考えられるのでしょうか?
長引く咳でクリニックを受診される方の場合、以下の疾患の可能性が考えられます。
かぜが重症化して肺炎に移行することがあります。特に乳幼児や高齢者では注意が必要です。多くの場合は高熱を伴いますが、高齢の方などで熱が出ないこともあります。抗生剤による治療が必要となります。呼吸状態が悪化した場合などは、入院治療が必要です。
マイコプラズマは細菌の一種で、主に小児や若い方に感染して上気道炎・気管支炎・肺炎の原因となります。4年毎のオリンピックイヤーに流行することが多く、今年も流行がみられています。
百日咳菌の感染によりおこる呼吸器感染症で、長引く咳が特徴です。乳幼児では三種混合ワクチンの接種により予防されていますが、最近では青年・成人での発症が問題となっています。
結核が蔓延していた時代に比べて頻度は少なくなりましたが、今でも診断される方は出ているため、注意が必要です。免疫力の低下した高齢者や免疫抑制剤を使用している方、糖尿病の方、医療・介護従事者などではリスクが高く、特に注意が必要です。
かぜの後の長引く咳の原因としてもっとも頻度の高い原因の一つです。咳喘息は気管支喘息の前段階の症状で、呼吸がヒューヒューする喘鳴(ぜいめい)は聞かれませんが、しつこい咳の症状が続き、特に夜間や明け方に悪化するのが特徴的です。小児喘息の既往がある場合は、リスクが高くなります。
喉のかゆい感じを伴う乾いた咳が特徴で、アトピー素因のある中年女性に多く見られます。
副鼻腔炎と気管支炎が合併した状態です。長引く咳に加えて鼻水、鼻詰まり、鼻水の喉の奥への垂れこみなどがある場合は、耳鼻科の診察が必要です。
長年タバコを吸っている方で慢性閉塞性肺疾患(COPD)が進行していることがあり、かぜをきっかけにして咳や痰の症状が悪化することがあります。
他にもさまざまな疾患が原因となることがありますが、いずれにしても長引く咳に対してはしっかりとした診断と治療が必要です。